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2025年10月20日月曜日

季節とともに音を紡ぐ


こんにちは、poco moonです。今日のテーマは「季節とともに音を紡ぐ」です。季節から感じるインスピレーションは、曲作りにとても大切だと感じています。

自然から得たインプットが、音としてアウトプットに繋がる瞬間というのはとても豊かで、季節感のある曲が生まれた時には「今を生きている」という実感が湧きます。

気温、光、風、匂い、五感で受け取ったものがそのまま旋律や音色に変わっていく感覚。それが、私にとって音楽制作の一番の喜びです。



春 ─ 柔らかく、芽吹くような音を

春になると、空気の中にほんのりとした温かさが戻り、花や草の色も少しずつ明るくなります。私の中では、和楽器の音がとても似合う季節。特に琴の明るく澄んだ音色は、春の日差しのように軽やかで、心をすっと開いてくれるような感覚があります。

メロディには長調を使うことが多く、軽やかなストリングスやベル系の音を合わせると、優しい春の風景が自然と浮かび上がります。


夏 ─ 生命の息づかいをリズムで描く

夏は、エネルギーに満ちた季節。木々の緑が濃くなり、川や海の音も力強く響きます。この季節の音楽には、ビートを少し強めにすることが多いです。

自然の中で聴こえるリズム、波の周期、蝉の鳴き声、風が木々を揺らす音、それらが音楽的なパターンとして心に残り、ドラムやパーカッションのフレーズに反映されていきます。夏の音は「生きている」という感覚を最も感じさせてくれます。


秋 ─ 響きの余白に、優しさを

秋は、空気が少し冷たくなり、夕暮れの時間が長くなる季節。私はこの時期に、ディレイやパッドを多く使います。音の余韻を少し長めにとることで、心の奥に残るような柔らかさを出すことができます。

メロディも控えめに、ゆるやかなテンポで。夏の賑やかさが静かに遠のいていくような、少しの寂しさとぬくもりを感じる音を目指します。


冬 ─ 静けさの中の透明感

冬は、私にとって「音の静けさ」を意識する季節です。リバーブを深くかけて、空間の広がりを大切にします。音数を減らしても成り立つような、透明感のある構成。白い景色にたたずむような音が好きです。

ときどき、ピアノやシンセの高音を雪の結晶のように配置して、空気の冷たさと美しさを表現します。冬の音は、静寂の中にこそ豊かさがある、そんな感覚を教えてくれます。


季節で変わる「街の音」

フィールドレコーディングをしていると、同じ場所でも季節によって全く違う音が聴こえることに驚かされます。春には鳥のさえずりが多く、夏は虫の声と風の音が力強く、秋は葉が擦れる音、冬は人の足音がやけに響く。音の種類や響き方が、そのまま季節の情景を伝えてくれます。環境音そのものが、季節を語る楽器のように思えます。


季節の音を生きるということ

今年は季節を意識した曲作りを続けてきて、とても充実しています。春には芽吹き、夏には光、秋には余韻、そしてこれからやってくる、冬の静けさ。四季を通して、自分の感情も音も少しずつ変わっていくのがわかります。

季節の中で感じたインプットを音楽にアウトプットできること。それは、作曲家としての幸せそのものであり、自然と共に音を紡ぐことの喜びでもあります。

2025年10月19日日曜日

フィールドレコーディングの魅力


こんにちは、poco moonです。今日のテーマは「フィールドレコーディングの魅力」です。私の曲には、風や波、鳥の声など、さまざまな“環境音”がそっと混ざっています。

アンビエントやエレクトロニカを作る中で、こうした音は、メロディやリズムと同じくらい大切な要素です。音楽が生まれる場所の空気や時間までも、一緒に閉じ込めたい。そんな気持ちで、私は旅先で録音をしています。


🔸 どんな音を録るのが好きか

旅先では、つい耳を澄ませたくなる瞬間があります。波が岩に当たる音、森を抜ける風の音、川がゆっくり流れる音……。そうした“風景の中の音”を見つけたとき、録音機をそっと取り出します。

海辺でマイクを構えると、砂の上を歩く足音や遠くのカモメの鳴き声まで聞こえてくる。そのたびに「この音は、どんな曲と出会うんだろう」と想像がふくらみます。


🔸 フィールドレコーディングの工夫

録音には ZOOMのH4nH1n の2種類を使っています。以前はH4nでしっかり録っていましたが、最近は一眼レフで写真も撮るので、機材を軽くしたくてH1nを使うことが多くなりました。

いちばん難しいのは、人の声が入らない環境を見つけること。人通りの少ない時間帯や場所を探し、静かになった瞬間を待ってマイクをセッティングします。

5〜10分ほどの収録ですが、風の向きや波のリズムなど、思うように録れないことも多い。それでも、うまくいったときの音には、その場所の空気がまるごと写っているようでうれしくなります。


🔸 加工の仕方と仕上げ

録った環境音は、DAWに取り込んでから軽く整えます。基本的には 低音をカット して、ノイズを減らす程度。自然の音は加工しすぎると“生きた感じ”が失われてしまうので、なるべくそのままの息づかいを残すようにしています。

音を重ねるときは、主張しすぎず、曲の背景に溶け込むように配置。シンセやピアノの後ろでそっと流れているだけでも、その音があるとないとでは、曲の深呼吸の仕方がまるで違って感じます。


🔸 楽曲での使い方

たとえば「Beautiful Coast」では、伊豆の浮島海岸で収録した波の音を使いました。夕方の時間帯で人の往来も少なく、柔らかな潮騒がヒーリングサウンドとよく馴染みました。

一方「Precious Time」では、ガットギターの音に風や鳥の声を加えています。こちらは人が多い公園で録音したため、遠くに人の話し声がかすかに入っています。でもその“にぎやかさ”が不思議と曲の温かさを引き立ててくれて、結果的にちょうどいい“生活の音”になりました。


🔸 自然と音楽のあいだで

環境音を加えると、音楽がより身近に感じられるようになります。まるで、日常の中に自然が静かに寄り添ってくれるような印象。人工的なサウンドの中にも、どこか“現実の時間”が流れ出す気がするのです。

私にとってフィールドレコーディングは、単なる素材集めではなく、風景と心をつなぐ小さな旅。これからも耳を澄ませながら、音の中にある景色を探していきたいと思っています。

2025年10月18日土曜日

曲の構成を考えるときに意識していること


こんにちは、poco moonです。
今日のテーマは「曲の構成を考えるときに意識していること」です。

私は、曲を作るとき、最初の段階では全体の構成まではあまり考えません。まずはピアノやシンセでメロディやモチーフ、コード進行をスケッチのように描いていきます。音の断片を集めていくうちに、少しずつ「この曲はどんな風景を描きたいのか」「どんな流れで聴かせたいのか」が見えてきます。

構成を考え始めるのは、その“音のかけら”が形になってきたタイミングです。イントロからアウトロまでをどう組み立てるかで、曲の印象は大きく変わります。メロディや音色の選び方と同じくらい、構成は音楽の“ストーリーテリング”に関わる大切な要素だと思います。


イントロはシンプルに

イントロはその曲の“第一印象”です。ここで聴く人の興味を引けるかどうかで、最後まで聴いてもらえるかが決まることもあります。私はできるだけ長くならないように意識しています。ピアノのコードだけで始めたり、4つ打ちのハイハットやバスドラのリズムだけで空気感を作ることも多いです。

大切なのは、最初の数秒で「おっ」と思ってもらえること。派手さではなく、“これから何かが始まりそう”という期待感を作るのがポイントです。音を詰め込みすぎず、空白を活かしたイントロの方が、聴き手の想像力を引き出してくれます。


足すだけでなく“引く”構成

多くの曲では、展開に合わせて楽器やハーモニーをどんどん重ねていきます。私もそうすることがありますが、最近は“引く構成”にも魅力を感じています。

たとえば、1回目の流れが終わり、2回目の展開に入るタイミングであえてベースを抜いてみる。すると、音の厚みが一瞬なくなり、メロディが浮かび上がって聴こえます。その後で再びベースやパッドを加えると、同じ構成でも新鮮な印象が生まれるんです。

音を足すことは簡単ですが、引くことには勇気がいります。ただ、その“間”にこそ、音楽の深みや余白が生まれる。特にアンビエントやエレクトロニカでは、こうした静と動のバランスが大切だと思います。


構成の流れ=小さな物語

曲の構成を考えるときは、ひとつの物語を作るような感覚で取り組んでいます。
最初は穏やかに始まり、途中で感情が動き、最後に静かに終わる。そんな「心の流れ」を音で描いていくのが理想です。

印象的に終わるための工夫として、私は一音だけ“雫のようなキラッとした音”で締めることがあります。ピアノやグロッケン、ベルなどを使って、静かな中に小さな光を残すように。

最後の1秒まで気を抜かずに、余韻の美しさを大切にしています。


■構成を考えることは、音を「演出」すること

DTMで作曲をしていると、つい“音を作ること”ばかりに集中しがちですが、構成を整えることはまるで映画やドラマの演出のような作業です。

場面が変わる瞬間、音の切り替え方、登場する楽器の役割。それらすべてが、聴き手にとっての「物語の流れ」を決めていきます。

曲全体を通して聴いたときに、自然に空気が流れるように。音が語りすぎず、でもしっかりと感情を伝えられるように。そんなことを意識しながら、一音一音を組み立てています。


まとめ

構成を考える作業は、曲に命を吹き込む工程だと思っています。
イントロでどんな空気を作り、どこで引いて、どこで盛り上げるか。
それを丁寧に積み重ねていくことで、曲はただの「音の集合」ではなく、“ひとつの物語”として聴き手に届くようになります。

曲作りに行き詰まった時は、一度“構成”の流れを見直してみるのもおすすめです。
きっと新しい発見があると思います。

2025年10月17日金曜日

曲ができないときに考えていること


曲ができるときと、なかなかできないとき。

これは音楽を続けていると、誰にでも訪れるものだと思います。音楽に限らず、絵を描く人、文章を書く人、何かを作る人すべてに共通することかもしれません。

「作れない」時期には、決して才能がなくなったわけではなく、ただインプットが不足していることが多い気がします。


休むことも、大切な制作の一部

作曲を続けるようになって、私は「休むことの大切さ」を本当に実感しました。机に向かってひたすら音を重ねるだけでは、だんだんと感覚が鈍ってくる。

そんなときこそ、音楽から少し離れてみる。犬と散歩をしたり、家族とゆっくり話をしたり、本を読んだり、映画を観たり、旅に出たり。

そうした時間の中で、ふとした瞬間に「音」が戻ってくることがあります。五感で受け取ったものが、知らないうちに心の中で音楽になっているんですね。


インプットを別の形でアウトプットする

インプットしたことを、そのまま心にしまい込まず、何かの形で外に出してみる。それもまた、クリエイティブな循環のひとつだと思います。

最近は、こうしてブログの文章を書くことも自分にとって大切なアウトプットになっています。また、旅先で環境音をハンディレコーダーに収録するのも好きで、波の音や風の音、鳥の声などを録る時間が、少しずつ自分のライフワークになってきました。

 音楽を作っていない時間にも、確かに「音楽の種」は育っているのだと思います。


焦りを感じたときに思い出すこと

SNSでは、他のミュージシャンが毎日のように新しい曲を発信していて、「自分も何か出さなきゃ」と焦ることがあります。 でも、そんなときこそ一度立ち止まって、「自分の音楽を誰に届けたいか」を考えます。

私の場合、一番に思い浮かぶのは、身近にいる人たち。自分の家族、応援してくれている人たちがいるからこそ、音を続けられている。その人たちの顔を思い浮かべると、また音楽に向き合う力が湧いてきます。


おわりに

たくさんの経験や出会い、そして心の動きが、次の音楽を生み出す原動力になります。作れない時期も、音が眠っているだけ。焦らず、たくさん感じて、また音に戻っていけばいい。クリエイターの皆さん、一緒に自分のペースで頑張っていきましょう。

2025年10月16日木曜日

BGMに使う音選びのコツ


こんにちは、poco moonです。今日のテーマは「BGMに使う音選びのコツ」。

DTMでは、打ち込み技術ももちろん大切ですが、実は「音色選び」が作品の印象を大きく左右します。どんな音を選ぶかによって、音楽の質(クオリティ)が変わり、同じメロディでも雰囲気がまったく違って聴こえることもあります。


メロディを引き立てる音の組み合わせ

メロディはピアノで作ることが多いですが、私はよくベル系のサウンドも重ねます。
ピアノの音だけだと他のオケに埋もれやすいことがあるため、グロッケンをうっすら混ぜて音の輪郭をはっきりさせるようにしています。ほんの少し高域に煌めきを足すだけで、聴こえ方がぐっと洗練されます。


音の硬さでジャンルが決まる

音の「硬さ」や「柔らかさ」は、ジャンルの印象を決める重要な要素です。

  • コーポレート系BGMでは、クリーンで硬めの音を使うとサウンドが引き締まり、クールな印象になります。

  • アンビエント系BGMでは、逆に柔らかいパッドやアタックの穏やかな音色を中心にして、空気のような優しい雰囲気を出すようにしています。

その曲の世界観に合わせて、音の“質感”を意識して選ぶことが大切です。


帯域バランスで音を整える

音の周波数帯域が重なりすぎると、全体が膨らんで聴き取りづらくなります。私は主張したい音と支える音の帯域を意識的に分けるようにしています。たとえば、メロディを明るめにして、パッドを中域寄りに、ベースを丸く低域に置くことで、自然な立体感が生まれます。


まとめ

音選びは、BGMの“世界観づくり”そのもの。
メロディやコードだけでなく、「どんな音で表現するか」を考えることで、作品の完成度は大きく変わります。聴く人が心地よく感じる音の組み合わせを探す。それが、BGM制作の面白さのひとつだと思います。